風の雑学

ここではWSFの主役、風に関しての話題に触れてみます。


WSFと風速
WSFは風が動力源ですので無風の場合は走りませんが、風が吹けば何でも良いと言う訳でも有りません。 少なくとも1〜2m/sは無いと走りません。しかしこれでもボードは安定はせずバランスをとったりセイルを支える など結構辛いです。2〜3m/s位の風が浮力のあるボードで練習に適している風域といえます。4m/s以上の風でボード も安定し、セイルに体を預ける事が出来、プレーニングに入る風域といえます。一般的な中級セイラーですと5m/s以上の風から 快感を得られる風域でしょう。海面では白波が目立ち始めます。また、ビギナーの人は出艇を控えた方が無難です。 逆に強風域では13〜15m/s位の風が楽しく乗れる限界といえるでしょう。これ以上吹くとかなり危険を伴います。
WSFと風の種類
風は温度の差と気圧の差で吹く2種類があります。(詳しくは下記)
まず気温差で吹く風ですが、これはよく知られている海風と陸風で、サーマルとも呼ばれています。 真夏を中心に4月〜10月によく吹き、午後から徐々に海風が強くなり、日没頃になると止みます。 この風はそれほど強くなりませんが、海水温の低い4月〜5月の暖かい日は期待できます。また、地形によっては かなり吹く所もあります。代表的な所として本栖湖が良く知られています。ここは駿河湾からの海風が富士山を回り込み 南アルプスとの間で凝縮され本栖湖に一気に吹き込むメカニズムで、時には15m/s以上のブローが入る事もあります。
気圧差の風については、日本海を低気圧が発達しながら通過し強い南風が吹き荒れる現象があります。 良く知られている「春一番」が代表的なものです。 もう一つ代表的なのが「西高東低」と呼ばれる冬型の気圧配置です。冬を中心に10月〜3月によく吹く北西の季節風です。 WSFのオンシーズンは冬と言われる所以の風です。
また、上記の事は一般的な事なので当然、地形によって風速や風向が変わることがあります。



風速、風力、時速の関係
風速とは1秒に何メートル風が移動するかです。

【風速の算出式】
風速(m/s)=時速(km/h)×1000/3600
風速(m/s)時速(km/h)風力風の目安
13.5  
271煙がなびき、やっと風があるとわかる
3112顔に風を感じる。木の葉が動く
415  
5183木の葉がたえず動く。軽い旗がはためく
622  
725  
8294砂ぼこりが立ち、紙が舞い上がる
933  
1036  
11405小さな木がゆれ、池の水面に波頭が立つ
14506大枝が動く。傘がさしにくい
17627木全体がゆれ、風に向かって歩きにくい
21758小枝が折れる。風に向かって歩けない
25889建物に少し被害が出始める
2810010木が根こそぎ引き抜かれる
ムダ知識T
地球上で観測された最も強い風は1934年4月にアメリカ Mount Washingtonで観測された372 km/hです。 そして日本の観測史上最大は1965年9月10日、室戸岬での風速69.8m/sが記録された。 時速に直すと時速 250km/h以上、新幹線よりも速いスピード。
ちなみに台風を5段階に分類した中で、最も強い「猛烈な」台風の最大風速が55m/s以上。 ですからかなりな風といえます。


ムダ知識U
風はその土地特有の愛称があります。例えば、 東北地方特有の風、「やませ」は「山背」と書き、山を背に頂から麓へ吹き下りる、長く強く吹く風です。 風が山を越えて吹き下りるときに強くなる「おろし」と同じです。 有名なおろしには、北海道の手稲おろし、那須おろし、筑波おろし、赤城おろし、静岡県の富士川おろし、伊吹おろし、 三重県の鈴鹿おろし、 兵庫県の六甲おろし、などがあります。


ムダ知識V
風はその土地で色々言伝えもあります。 例えば、若狭湾から日本海沿岸で吹く北西の冬の風は「玉風(たまかぜ)」と呼ばれ、強く激しい恐ろしい風です。 霊魂が帰る方角(北西)から吹く「玉風」は、悪い霊(たま)が吹かせる風であると思われていました。一方、山陰地方では、 南東からの強い風を「いせち」と呼び、伊勢神宮のある伊勢の方から吹くため神風と思われていたようです。 人のはかない力では変えることのできない風の力は、神や霊の力と考えられていたのでしょうか。

風のしくみ

風は、周辺の空気が移動することによって起こります。 では何故移動するか、同じ高度で比べた場合、気圧に差があるところでは、気圧の高い方から低い方へ向かって空気を 動かそうとする力が働きます。 また、空気は暖められると軽くなるので、太陽で地面が熱せられて上昇気流、 つまり上向きの風を生み出します。さらに、上昇気流により地上の空気は薄くなるので、 これを補うために周囲には下向きの風、下降気流が生まれます。また、暖かい地域と冷たい地域が隣り合わさると、 暖かい地域の空気は上空から冷たい地域へと流れ込み、冷たい地域の空気は地表面付近から暖かい地域へと流れ込もうとします。 このときの空気の動きも風になります。このように、風は気圧の差や温度の差を解消するために生まれます。 また、この現象は地球規模でも起こっています。 太陽から降り注ぐ日射は緯度によって異なります。太陽からの熱を最も多くうける赤道に近い地域と、 太陽が斜めにしかあたらない北極や南極付近では太陽から受ける熱の量に大きな違いが生じ、温度差ができます。 この温度差によって、地球規模の対流(風)が生まれます。

季節風

この地球規模の対流(大気の大循環)は、季節によって変化します。 特に夏と冬で大きく変化する地球規模の風をモンスーン(季節風)と呼びます。 日本で、冬にみられる季節風(北風)はシベリア高気圧(寒冷なシベリア気団) と北太平洋上のアリューシャン低気圧の間に形成される気圧の高低によって引き起こされる。中心の 気圧配置西高東低となる。は小笠原高気圧(気団)が南で発達するので南高北低となる。

サーマル

身近に感じる風の変化のひとつに、「海陸風」があります。海陸風は、陸が、 海よりも暖まりやすくて冷めやすい性質を持っているために起こります。 昼間は、陸の方が気温が高く気圧が低くなるため海から陸へと風が吹きます。 になると逆に陸の方が早く冷えるので、昼間とは反対に、陸から海へと吹く風になります。

等圧線と風の関係

等圧線は気圧が等しい地点を線で結んだものです。 気圧の差が大きい場所は、天気図に書いてある等圧線同士の間隔が狭くなっているので、これで判断します。 逆に、気圧の差が小さい場所は、天気図に書いてある等圧線同士の間隔が広くなっています。 風は気圧の高い方から低い方へ吹きますので、 気圧の高いところと低いところの差が大きい場合には、風は強く気圧の低い方へ吹きつけます。(等圧線の間隔が狭いところ) 逆に、気圧の高いところと低いところの差が小さい場合には、風は弱く吹きます。(等圧線の間隔が広いところ)
地球上で吹く風は、地球が自転しているために進む方向が変わります。 例えば、南へ吹いている風は地球の自転によって西の方へ曲げられてしまいます。 この現象を起こす原因をコリオリの力と呼びます。 コリオリ力のほか、摩擦などもありますので、等圧線に対して陸上で30度、海上で15度くらいのかたむきになります


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